HSPとは?

HSPとは?

HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の頭文字をとったものです。ユング派の心理学者、エレイン・N・アーロン博士によって1996年に提唱されました。敏感、繊細、感受性の強い、感じやすいなどの意味があります。HSPは、全人口の15~20%、約5人に1人がもつ特徴です。

HSPセルフチェックリスト

次の質問に、感じたままに答えてください。少しでも当てはまれば「はい」、当てはまらなければ「いいえ」と答えてください。

自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ

他人の気分に左右される

痛みにとても敏感である

忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる

カフェインに敏感に反応する

明るい光や強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい

豊かな想像力を持ち、空想に耽(ふけ)りやすい

騒音に悩まされやすい

美術や音楽に深く心動かされる

とても良心的である

すぐにびっくりする(仰天する)

短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう

人が何かで不快な思いをしている時、どうすれば快適になるかすぐに気づく(たとえば電灯の明るさを調節したり、席を替えるなど)

一度にたくさんのことを頼まれるがイヤだ

ミスをしたり、物を忘れたりしないようにいつも気をつける

暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている

あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり神経が高ぶる

空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる

生活に変化があると混乱する

デリケートな香りや味、音、音楽などを好む

動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している

仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる

子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」 とか 「内気だ」 と思っていた

質問のうち12個以上に「はい」と答えた方は、HSPの気質があるといえます。

HSPの特徴

HSPとは?

1.一度に多くの情報を吸収できる

HSPは繊細な神経を持っています。そのため、細部まで、深く、感じ取ります。多くの刺激を受けたと感じるかもしれません。そして、外界から得た情報をもとに、様々な思考や空想を広げます。受け取る情報量が多い為、他の人よりも早く許容量がいっぱいになります。 HSPは大きな喜びを手に入れることが出来ます。芸術鑑賞、音楽鑑賞、美味しい食べ物、美しい自然が、心の奥深くまで染み入り、喜びで満ち足りた気分になることができます。

2.音やにおいなどの微細な違いも察知できる

音やにおい、視界に入ってくるもの等に敏感です。打ち上げ花火の大きな音、上階から聞こえる足音、満員電車、たばこの匂い、寒さ、空腹、、、 ちょっとした事からも察知します。そして、物事を軽く受け止めることが得意ではありません。環境が適切でないと、心に余裕がなくなり、苦しむことがあります。その為イヤホンをする、上着を用意するなど、対処法があると楽に過ごせます。

3.ゆっくり、深く多角的に考えられる

1つの物事について、たくさんの異なる観点から、とらえることができます。その分、物事をじっくり考える時間が必要になります。よく考えることで、独創的な発言や行動をすることができます。
HSPは「自発的で衝動的」と対極にいます。罪悪感や羞恥心を抱きやすいため、他人に迷惑をかけたと感じる時は、必要以上に後悔しやすく、自分を責め続けてしまいます。 素晴らしい想像力はそのままに、自分を責めてしまう時は「そんなに悪くはなかった」と声に出して、自分に語り掛けてあげましょう。

4.とても慎重で、危機管理能力が高い

行動に移す前に、じっくり観察し、熟慮します。そのため、失敗や不運に見舞われずに済みます。起こりうる危険性についていつまでも考えてしまい、行動が遅くなる傾向にあります。また、不安を抱えやすいです。
危機管理はほどほどに、目の前の美しい世界や美味しい食べ物、何も起こっていない事実などに目を向けることで、危機管理能力がより現実的に発揮されます。

5.共感力が高く、気配り上手

共感力が高く、他人に感情移入することができます。相手の気持ちを察知することができ、とても気が利きます。共感力が高いゆえに、他の人の気持ちを敏感に感じ取り、左右されます。相手の苦しみを他人事ととらえられず、その分とても疲れやすいです。また、怒りやケンカなど、雰囲気の悪い場に居合わせると、とてもストレスに感じます。
人と一緒にいて疲れた時は、一人の時間をとるようにします。その時間を自分らしく過ごすことで、心が充電されます。

6.誠実で、責任感がある

非常に誠実で、全ての責任をとろうとする傾向があります。幼いころから不穏な空気を敏感に感じ取り、どうにかしようと頑張ってきました。悪い雰囲気に影響されやすく、神経のバランスを崩すことがあります。
自分のせいで他人の気分を害することは、何としても避けたいと考えます。そのため、攻撃的な議論の場では圧倒されてしまい、翌日になって、ようやく何が言いたかったに気づく、ということもよくあります。
日々、自分の気持ちに注意を向けることで、周りに振り回されず、自分らしさをとり戻すことができます。

7.想像力豊かで、内的生活が充実している

HSPの多くは、「自分たちは豊かな夢の生活を送っていて、想像力に富み、生き生きとした空想力を持っている」といいます。インスピレーションは自分の内側から泉のように出てきます。芸術作品を作る人も多いです。老後もゆったりとした生活を楽しむことが出来ます。

内向的なHSPと、外交的なHSP

内向的HSPは、人が嫌いという事ではなく、大勢でいるよりも、数人の友人といることを好みます。人間関係は、量より質を重視します。内向的なHSPは、HSP全体の70%を占めます。 一方、外交的なHSPは、広い交際範囲を持ち、集団の中にいることや、新しい出逢いを好みます。新しい情報や刺激を求めます。外交的なHSPは、大家族で育った方や、愛情深い安全基地のような場所で育った方に多いようです。

HSPが抱えやすい心の問題

HSPが抱えやすい心の問題

1.自分自身に高度な要求をしてしまう

自分に課したルールに、縛られてしまいます。親から課せられたルールを、取り入れている事も多々あります。人に優しくする、頑張り続ける、優秀でいなければ、など自分に高い要求をしてしまうのは、自尊心の低さからくるものです。人から愛されるためには、頑張らないといけないと、思っている事が多いようです。

2.罪悪感と羞恥心にさいなまれてしまう

罪悪感には、現実的な罪悪感と、度を超えた罪悪感の2つがあります。自分に責任がある、私が何とかできたはず、そう考えるほど、罪悪感は強くなります。子供時代に叱責されることが多いと、罪悪感を抱きやすくなります。 罪悪感がやってしまったことに対し抱くのに対し、羞恥心は自分自身に抱きます。自分は何か間違ったのではないか、それが明るみに出るのではないか、という恐怖心が入りまじっています。満たされない子供時代を過ごすと、羞恥心を抱きやすくなります。

3.恐怖心を感じ憂鬱になりやすい

敏感な人の多くは、恐怖心と闘っています。想像力豊かがゆえに、物事が悪い方へ向かう可能性も見えてしまうのです。人生は不確かで、危険を伴います。恐怖を感じるのは自然な事です。無理に楽観的になる必要はありません。

4.怒りをうまく放出できない

HSPは怒りをあまり好みません。ちょっとしたケンカは、新鮮に感じるかもしれませんが、自分自身の怒りに、大きく振りまわされてしまいます。誰かを傷つけてしまった場合、相手の痛みを無視することが難しく、自分自身も傷ついてしまいます。罪悪感を抱いてしまいます。HSPにとっては、大声を出して怒りをあらわにするよりも、静かに落ち着いて表現する方が、怒りを表現しやすいかもしれません。

HSPの原因

HSPは病気ではなく、持って生まれた気質、特性です。多くのHSPは、右脳の方が活性化されています。生まれつき偏桃体が敏感で、刺激に対して、敏感に反応してしまう特性を持っています。

HSPとアダルトチルドレン

同じ環境で育っても、HSPはその繊細で敏感な気質から、家族の「歪み」や、親や周囲からの影響をより受け取りやすいです。 問題が多い子供時代を過ごした子ほど、うつ状態や、強い不安感を感じやすいです。
また、過保護な親に育てられると、自由に自信をもって動くことができず、不安を抱きやすくなります。外の世界は恐ろしく、とてもそこでは生きていけない、という印象を強めていきます。

内なる声を聞く方法

ユングは「人生とは、個性化のプロセスだ」と言っています。個性化とは、周囲の騒音の中から「内なる声」を聞き分けることです。 内なる声を聞く方法は、フォーカシング(療法)が向いています。自分の心の声を聞く、あるいは身体にある“感じ”が、何を訴えているかを受け止めていきます。 今まで、周囲の刺激を受け止めることで精一杯でしたが、内なる声、自分の内側にある本当の自分の声を受け止めることで、HSPの特性を生かして、より自分らしく生きることが出来るようになります。

HSPだからこそ、人生を深く生きる

「本当はどうしたいか?何を感じているか?何がしたいか?」内側の声を受け止められるようになると、人生はより深く、より鮮やかになり、生きる意味を感じ取れるようになっていきます。

自分の喜びと、世の中のニーズの接点を探せば、天職が見つかるでしょう。 その敏感さを生かせば、子育ての成功のカギとなるでしょう。 恋愛や結婚生活も、一人の時間を持つことで、愛を育むことができるでしょう。

HSPだからこそ、食事を楽しみ、コミュニケーションを楽しみ、身体を労わり、美しい地球に感謝して、生きる喜びを味わうことが出来るのです。

<参考文献>
「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。」エレイン・N・アーロン著
「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」イルセ・サン著