恋愛依存症とは、恋愛感情を抱いている相手に対し依存し、束縛し、その人の面倒をみることに脅迫的に集中している人の事を指します。

恋愛依存症の本人だけでなく、相手にもダメージを与えてしまいます。その結果、辛い恋愛、うまくいかない恋愛になってしまうのが特徴です。

1.恋愛依存症の恋愛心理学

恋愛依存症の恋愛心理学

恋愛

◎来年結婚を予定していますが、不安な気持ちでいっぱいです。
原因は彼の浮気ぐせです。
何度も裏切られ、別れを切り出しましたが「結婚しよう」と言われ、OKしました。
でも、彼の浮気癖がなおると思えなくって、眠れない日が続いています。
結婚してうまくやっていけるか不安でいっぱいです。

◎30歳になりますが、今までに付き合ったことがありません。
デートをするようになっても、なぜか知らないけれど自然消滅で終わってしまいます。
どうやったら恋愛関係になれるのでしょうか?

◎結婚して3年。最近彼の帰りが遅いのです。
聴いても「残業して会社に泊まった」とか「同僚と飲んでた」とか。
週末くらい一緒に出かけたり、子供の面倒をみてほしいのに、疲れているといって何もしてくれません。話し合いをしようとしても、気のない返事。
本当は彼は女でもできたのでしょうか。

恋愛の悩みも十人十色、いろいろありあますね。
あなたは今までどんな恋愛をしてきましたか?
自分の好きなタイプ、出会い、恋愛のパターンなど、過去の恋愛からどんなことを学んできたでしょうか?
そして、これからどんな恋愛がしたいですか?

恋愛心理学をとおして、これからのあなたの恋愛を長続きさせるヒントをみつけましょう。

恋愛心理学

恋愛は人生の中でもとても重要なアイテムです。
誰だって「素敵な恋人と幸せな恋愛がしたい」「パートナーといつまでも良い関係でいたい」 と願っているでしょう。

それでもなぜか「恋愛が上手くいかない」と悩んでいる人は多いし、周りに 「どうしてあんな人と付き合っているんだろう」というような人が少なからずいます。

実はそれは、心の奥深くにある”感情”と関係があるのです。

それでは、今日までの恋愛を少し振り返って考えてみてましょう。
次の質問にYes、Noで答えてみてください。

この12の質問は、どれも『恋愛依存症』の行動パターンにあてはまります。
3つ以上Yesがある人、すべての質問に自信を持ってNoと言えない人は恋愛依存症の傾向 があると言えるでしょう。

『恋愛依存症』・・ロマンチックな響きさえありますが、深刻な症状です。

恋愛依存症の特徴

「愛=苦しみ」になっている

恋愛の始めはドラックをしているかのように、いい気分を味わえるけれど、徐々に心や身体をむしばみ、愛するがゆえの苦しみへと変わっていきます

「別れたいvs別れたくない」の泥沼にはまってしまう

現実を、自分の都合のよいように解釈しようとする

毎日虐待を受けているのに”今日は虐待されなかった”と話したり、根拠もなく”きっと私が恋人を変えられる” と信じる

相手と一緒でない時も、相手のことが頭から離れない

「同じパターン」を繰り返している

恋愛が進むと、二人の関係は周囲から孤立してしまう

恋愛依存症は病気ではありません。
けれど、上記にあてはまる部分が多いほど、恋愛が苦しく、辛いものになっていきます。

では、次ページでさらに詳しく恋愛依存症を2つのタイプから見ていきましょう。

2.恋愛依存症2つのタイプ

恋愛依存症2つのタイプ

恋愛依存症と回避依存症

『恋愛依存症』・・・相手に依存し、束縛し、相手の面倒をみることに脅迫的なまでに神経を集中させている人。共依存的な人。
『回避依存症』・・親密な関係になるのを避ける人。

この2つのタイプ正反対のタイプのように見えますが、 「鍵と鍵穴」であるかのように、お互いに強く惹かれあいます。

『恋愛依存症』の特徴

必要とされることを必要とする

「他人が自分を必要とする=自分は生きている価値がある」という式が根底にあり、自分の存在価値はあくまで他人次第である

救済者になりたがる

「救済者になる=相手にとって自分は必要不可欠な存在になる」という式が根底にあり、アルコール依存症、仕事や金銭面でうまくいっていない人、性格面や情緒面に問題がある人など「救いがい」のある人を選ぶ。
しかし救えなかった場合(アドバイスを無視された、感謝されなかった)激しく落ちこんだり、罪悪感、自己嫌悪、相手への怒りなど の感情が襲ってきます。

相手をほおっておけない

常に自分を後回しにする

「自分の幸せよりも相手の幸せ」がモットー。
相手が幸せになって、初めて自分も幸せになる権利を得られる

現実をみつめることができない

認知の歪みから、現実を都合よく捻じ曲げてしまう

共依存症についてさらに詳しく

恋愛依存症と共依存症

恋愛依存症とは、恋愛感情を抱いている他者に依存し、束縛し、その人の面倒をみることに脅迫的なまでに神経を集中させている人のことを指します。このような状態は、共依存的ではありますが、全ての共依存症者が恋愛依存症ではありません。

共依存症についてさらに詳しく

回避依存症の特徴

回避依存症者は幼児期の見捨てられ体験や、親の束縛を経験していることが多い。そのため「親密さに対する怖れ」が強く、他者との間に壁を作ります。

・対人関係以外の活動に熱中して、対人関係における激しい感情を避ける

・相手に追い詰められ、支配されることから自分を守るために、相手に自分の事を知られないようにする

・さまざまな手法を用いて相手との親密な接触を避ける

これらは臨床心理学では、回避性愛着スタイル、あるいは回避性愛着障害といいます。

『回避依存症』の特徴(4つのタイプ)

独裁者タイプ

「正しいのは自分、間違っているのはお前」自分が上、相手が下になって、常に相手をコントロールしようとする「身体的暴力」や「精神的暴力」などの方法で権力を握ろうとしたりする

搾取者タイプ

「本当にオレを愛しているのなら~」「一体私はどうすればいいの?」など一見自分の不幸を嘆いているようで、実は無言の圧力で自分の要求を通そうとする

ナルシストタイプ

「自分は特別な存在である」との感覚ばかりが先にきて、「他者も特別な存在である」ことが認められない。
相手は自分のシナリオ通りに動くコマにすぎず、自分の引き立て役にさせる

脱走者タイプ

相手の求愛や要求を前にすると怖気づいてしまい逃げ出したくなる
「自由でいなくてはならない、束縛されたら終わりだ」との強迫観念にとらわれる

回避依存症についてさらに詳しく

恋愛依存症と回避依存症は正反対のタイプです。
しかし、どちらのタイプも有していることもあります。
例えば、ある特定の相手に対しては恋愛依存症の特徴があらわれ、また別の人には回避依存症の特徴をあらわすことがあります。

恋愛サイクル

共依存症者と回避依存症者は、次のような恋愛サイクルを繰り返します。

共依存症:Aさん 回避依存症:Bさん の場合から、恋愛サイクルの中で、どのような感情を体験するのかを見てみましょう。

1.お互いのパワーに魅かれる

Aさん 「なんてステキな人!」
「私を守ってくれる人、私をわかってくれる人」
Bさん 「私が守ってあげなければ!この人は、私なしには生きていけないんじゃないかナ」
共依存症 回避依存症者のパワーと美辞麗句に強く魅かれる
回避依存症 共依存症者の窮状と弱さに魅かれる

2.お互いを引き寄せあう

Aさん 「やっと私を見つけてくれた!」
もう一人じゃない、この人しかいない
Bさん 「あなたには”私しかいない”ということを、わかって!」
私のスゴイところをわかってくれる人は、この人だけだ
共依存症 幻想を呼び起こされ、高揚感を味わう
(私だけの王子様!赤い糸で結ばれている!)
苦痛(孤独、不安、空虚感等)からの開放感を味わう
回避依存症 誘惑して共依存症者と関係をもつ
敬い慕われることで高揚感を覚える

3.感情的に追い詰められてくる

Aさん 「私のことを好きなら、これくらいできるでしょ? これだけはわかって!」
「嫌われた?嫌われたくない!嫌いにならないで」
Bさん 「どうしてこんなに要求が多いんだろう」
「何をしても満たしてあげられない」
「束縛されているようで、息苦しい」
共依存症 要求が強くなり、見捨てられそうな現実を否認する
不適切、不健康な環境に異常に耐えられるようになる(明確なサインを無視)
自己管理能力が低下する、無感情になる
身動きの取れない感覚(関係を修復することも、逃げることもできない)
回避依存症 相手の窮状に追い詰められ、支配される感覚をもつ

4.見捨て、見捨てられる

Aさん 「こんなにしているのに、どうして私を見てくれないの?」
「また孤独になるのが怖い、見捨てないで!」
Bさん 「なんとかして、この関係から逃れられないか」
「他の事をしているほうが、よっぽど楽しい」
共依存症 否認が崩れ、相手に見捨てられたという認識が高まる
禁断症状(孤独、不安、嫉妬、恐怖、空虚感等)を示す
相手を取り戻す、または復習する妄想を抱く
妄想した計画を脅迫的に実行に移す
回避依存症 追い詰められる恐怖を緩和するためにアディクション(依存)「仕事、アルコール、スポーツ等」に頼り、関係を見捨てる

5.繰り返す

Aさん 「この人とちゃんとやり直したい」
「もう同じ間違えは犯さないぞ」「嫌われないようにしよう」
Bさん 「やっぱりこの人しかいない」「悪いことしたかな」
「これからは、もう少し話をきいてあげよう」
恋愛依存症 回避依存症者が戻ってくると、また同じサイクルを繰り返す
回避依存症 パートナーの元へ戻り、また同じサイクルを繰り返す、あるいは新たな相手を見つける

3.恋愛依存症の原因

誰もが幸せになりたいはずの恋愛なのに、 なぜ共依存症の人はあえて苦しい恋愛に身を投じ、回避依存症の人は親密な関係を避けようとするのでしょうか。

そこには『アダルトチルドレン』という概念があります。

アダルトチルドレン (AC)

もともとは「アルコール依存症の親を持つ子供たち(Adult children of Alcoholics)」 のことですが、現在はアルコール依存症だけでなく、何かしらの問題を抱えた親の存在による 「機能不全家族」のもとで育ち、そのために様々な心身の苦しみを抱えることになった人のことを指します。

機能不全家族

  • よく怒りの爆発する家族
  • 親が病気がちだったり、留守がちだったりする家族
  • 冷たい愛のない家族
  • 他人や兄弟が比較される家族
  • 期待が大きすぎて、何をやっても期待に添えない家族
  • 人目を気にする家族
  • 親子の関係が反対になっている家族
  • 両親や嫁姑の仲が悪い家族
  • …etc

はた目から見れば経済的にも裕福で、両親が社会的地位のある立派な方であったとしても、子供にとって上記のどれかにあてはまるようであれば、機能不全家族である可能性は高いのです。

アダルトチルドレンは機能不全家族の中で、自分や他者を健全な方法で愛するという、体験をすることができませんでした。
そのことによって、アダルトチルドレンは慢性的な自己否定感、他者に対する過度の適応といった特徴があり、心身ともに様々な形となって表れます。

共依存症、回避依存症ともに、アダルトチルドレンのひとつの表れ方なのです。

アダルトチルドレンをさらに詳しく

4.恋愛依存症からの回復

回復 ~ 幸せな恋愛に向けて ~

見捨てられへの怖れ・親密さに対する怖れ

恋愛依存症者は、機能不全家族の中で保護者との親密な関係を十分に持つ経験をしていないため、健全な人間関係を築く方法を学ぶ機会がなかったのです。
そして、また見捨てられるのではないかという怖れとともに、健全で親密な関係を持つことを怖れています。

しかし、原因がわかれば、対処することができます。

恋愛依存症者にとっての、アダルトチルドレンからの回復

恋愛依存症者は次のことを学ぶ必要があります。

常に相手からの温かい態度を期待するのは無理
相手に完璧を期待するのは無理
相手に面倒をみてもらおうとするのは無理
親密さは相手からの束縛や侵入とは違う
相手の面倒をみることは、あなたの仕事ではない
助けを必要としている相手なら自分が主導権を握れると思うのは間違い
相手が弱いからといって、自分より劣っているわけではない

エリック・バーン博士の交流分析という論理の中に、人生脚本という理論があります。

自分の人生プランは5~6才のころ筋書きを書き、15才になるころにはその役割を演じているといいます。
しかし、幼かった頃の筋書きに、大人になった今も縛られる必要はありません。
自分の脚本に気が付いたのならば、子供時代の傷ついた思い出や、トラウマと向き合い、それらが自分にどんな影響を与えてきたのかを考えていきましょう。

交流分析の目的の1つは「自律的な生き方をする」です。 自分の感情、思考、行動について自分で責任をとりましょう。
人間関係の問題を解決する時は、 相手を変えようとするのでなく過去と他人は変えられないという事実を踏まえて、自分の感情、思考 行動を変える道を選びましょう。

そして、人を愛するのと同様に、自分を愛してあげましょう。

自分は生きるのに、あたいする人間です
自分は、自分のままでいいのです
自分は愛するに、あたいする人間です
自分は、自分の居所をつくっていいのです
自分を、うんと好きになります

参考・引用文献
「恋愛依存症の心理分析」ピア・メロディ
「今日1日のアファメーション~自分を愛する365日~」西尾和美